【VRChat】「画質そのまま」で軽くする!基本の最適化術と、イベントで無双するための「超・軽量化」ガイド

はじめに:なぜ、今「最適化」が必要なのか?

「軽量化したいけど、画質が悪くなるのは嫌だ」 「せっかく可愛く改変したのに、劣化させるなんてありえない」

そう考えて、最適化を後回しにしていませんか? 実は、正しい知識で行う最適化は「何でもかんでも画質を落とすこと」ではありません。「見た目は1ミリも変えずに、内部の無駄だけを削ぎ落とす」作業です。

では、なぜそこまでして最適化をする必要があるのでしょうか? それには明確な2つのメリットがあるからです。

  1. 「見てもらえる確率」が格段に上がる
    • 現在、多くのユーザーが負荷対策のためにセーフティ設定を厳しくしています。重いアバターは、相手の視界から自動的に消去(カリング)されている可能性が高いです。
  2. 「クラッシュ(巻き込み事故)」を防げる
    • 無駄に巨大なテクスチャデータはVRAM(ビデオメモリ)を圧迫し、インスタンスにいる全員のPCを不安定にさせます。これを取り除くことで、「あなたと遊ぶと快適」という安心感に繋がります。

つまり、最適化とはマナー以前に、「あなたのアバターを、より多くの人に、より長く見てもらうための生存戦略」なのです。

今回は、Unityの無料ツールだけを使って、目的別に以下の2種類のアバターを作る方法を紹介します。

  • 【Plan A】普段使い用: 画質も見た目も一切損なわない。無駄だけを消し去る「純粋な最適化」。
  • 【Plan B】イベント特化: ポリゴン2万・マテリアル1個。「PC Excellent」と「Android Poor」を両立する鉄壁のアバター。

今回使用するツール(すべて無料)

VCC/ALCOMやBOOTHから以下のツールを導入してください。

  1. Avatar Optimizer (AAO): 最適化の基本ツール。
  2. lilAvatarUtils: テクスチャ容量(VRAM)の分析・リサイズツール(lilToonに同梱)。
  3. Meshia Mesh Simplification: Unity上でポリゴン削減ができるツール。
  4. TexTransTool (TTT): マテリアルを1枚に統合(Atlas化)するツール。
  5. VRCQuestTools (VQT): 非破壊でQuest用に変換できるツール

【Plan A】普段使い用|見た目100%維持の「純粋な最適化」

ここではポリゴン削減などの破壊的なことは一切しません。 「無駄に巨大すぎるデータ」と「バラバラすぎる処理」を整理するだけで、見た目はそのままに快適性を手に入れます。

1. 巨大なテクスチャを適正化する (lilAvatarUtils)

VRChatで人が落ちる(クラッシュする)最大の原因は、ポリゴン数ではなく「VRAM(ビデオメモリ)不足」です。 「靴下の裏」や「小さなボタン」にまで、4K(4096px)の高画質テクスチャを使っていませんか?

  • 手順:
    1. Unity上部メニューの Tools > AvatarUtils を開きます。
    2. リストのヘッダーにある 「VRAM」 をクリックし、重い順に並び替えます
    3. ここがポイント:
      • 顔・メインの服: 2K以下であればそのまま(変更なし)でOK。アバターの命である「顔の良さ」は死守します。
        4Kテクスチャも、2Kまでならそこまで劣化は感じません。
      • 靴・小物・裏地など: Max Size のプルダウンから 1024512 を選択します。
    4. 最後に右下の Apply を押して適用します。
  • 効果: 見た目の劣化をほぼ感じさせずに、VRAM使用量を抑えられます。

2. マテリアルとボーンを整理する (AAO)

次に、描画負荷(Draw Call)を整理します。

  • 手順:
    1. アバターのルートに AAO Trace And Optimize を追加します。
      • これだけで、使われていないボーンやPhysBoneが全自動で削除されます。
  • アバターのルートに右クリックで Create Empty で空のオブジェクトを作り、名前をわかりやすいものにします。(MergeMesh など)。
    作成したオブジェクトに AAO Merge Skinned Mesh を追加します。
    • 顔以外のパーツ(服、髪、靴、アクセなど)をリストに追加して結合します。

⚠️ 【超重要】トグル(着せ替え)への影響

AAO Merge Skinned Mesh で結合する際、「メニューで出し入れ(ON/OFF)する予定の服や小物」は絶対にリストに入れないでください。 一度結合してしまうと、Unity上では1つの物体になるため、「上着だけ脱ぐ」「メガネだけ外す」といった操作ができなくなります。 「常に表示しておくもの(素体、髪、靴など)」だけを結合するのがコツです。

🎉 おめでとうございます!これで「最適化」は完了です!

ここまでの作業で、重くなる原因のほとんどを取り除いた状態になりました。 普段のフレンドとの交流やゲーム、写真撮影などであれば、この状態で完璧です。自信を持ってアップロードしてください!


ステップ2へ進む前に:目指すべき「数値」を知ろう

ここからは「もっと軽くしたい!」「大人数のイベントでも絶対に表示させたい!」という方のためのエクストラステージ(上級編)です。

作業を始める前に、今回のゴールである「PC版 Excellent」と「Android版 Poor」を取るために、クリアしなければならないVRChat公式の数値基準を確認しておきましょう。

この数字の「厳しい方(赤字部分)」に合わせて作れば、どちらのプラットフォームでも最強のアバターになります。

【目標ステータス表】

項目PC版 Excellent Android版 Poor 今回の作戦目標
ポリゴン数32,000以下20,000以下20,000以下
マテリアル数4個以下2個以下1個
PhysBone数4個以下6個以下0個
ボーン数75本以下150本以下75本以下

※参考:VRChat Avatar Performance Ranking System

ご覧の通り、Android版の「ポリゴン数・マテリアル数」と、PC版の「PhysBone・ボーン数」の制限が特に厳しいことがわかります。

これらを全てクリアするために、以下の手順で徹底的な軽量化を行います。

【Plan B】イベント用|「PC Excellent / Android Poor」完全攻略

⚠️ 【重要】アバター選びのコツ

2万ポリゴン以下かつPhysBoneなし(揺れない)という過酷な条件で、綺麗に仕上げるための「アバター選び」のポイントがあります。

  1. スカートより「ズボン(パンツルック)」
    • 揺れものを消すと、スカートは「硬い円錐」のようになってしまい、足が突き抜けるなど見た目が悪くなりがちです。ズボンなら揺れなくても違和感がありません。
  2. ロングヘアより「ショートヘア・まとめ髪」
    • 長い髪が背中に張り付いたり、板のようになったりするのを防げます。
  3. リアル等身より「デフォルメ(SD)」
    • リアル等身のモデルを2万ポリゴンまで削ると顔が崩壊しやすいです。元々ポリゴン数が少なめのデフォルメアバターなどが最適です。

イベント用アバターを作る際は、これらの条件に合う衣装や髪型を選ぶと、驚くほどクオリティの高い「軽量アバター」が完成します。

1. ポリゴンを20,000まで削ぎ落とす

Android版の「Poor」ランク制限(20,000ポリゴン以下)をクリアするために、「Meshia Cascading Avatar Mesh Simplifier」 というツールを使います。 これは「目標のランク」を指定するだけで、アバターのパーツごとの削減率を自動で配分してくれる機能です。

  1. ツールの準備: Hierarchyで、イベント用に作成したアバターを右クリックし、Meshia > Cascading Avatar Mesh Simplifier を選択してコンポーネントを追加します。
  2. 目標ランクの設定: 追加されたオブジェクトのInspectorにある、目標とするパフォーマンスランクを確認します。 ランクを Mobile-Poor に設定します。
  1. 見た目の微調整:
    • 顔の崩れが気になる場合は、部位ごとのスライダーを調整して顔の削減率を下げ、他のパーツで帳尻を合わせます。

2. PhysBoneを「全カット」する

イベント用は「揺れ」を捨てて、軽さと安定性を取ります。

  • 手順:
    1. SDKのアップロード画面、またはHierarchyから、アバターに入っているすべての PhysBoneコンポーネント を探します。
    2. これらをすべて 無効化(チェックを外す) します。
      ※オブジェクト自体を無効化してしまうと、ボーンが無効化されてバグってしまう可能性があるので注意!無効化するのはあくまでコンポーネントだけです。

髪もスカートも揺れませんが、その分、何十人集まってもあなたのPCは重くなりません。

3. マテリアルを「1つ」に統合する (TexTransTool)

PC版で Excellent、Android版で Poor を取るには、バラバラのマテリアル(服、髪、靴、肌など)を物理的に1つにまとめる必要があります。

これを手動でやるとUV展開などの専門知識が必要ですが、TexTransTool (TTT) を使えば全自動でやってくれます。

  • 手順:
  1. ツールの準備: イベント用に複製したアバターのルート(一番上の階層)で右クリックし、TexTransTool > TTT AtlasTexture を選択してコンポーネントを追加します(またはGameObjectメニューから作成)。
  2. 統合するパーツの登録: AtlasTexture コンポーネントのInspectorにあるリスト(対象メッシュ一覧)を確認し、すべての項目にチェックを入れます。
  3. マテリアル結合の設定:
    • 「マテリアル結合グループ」「結合時マテリアル参照」 にある 「すべて」 にチェックを入れます。Texture Size2048(または 1024)に設定します。設定ができたら、下部にある 「すべてのマテリアル結合時参照」 の欄に、統合先となるマテリアル(事前に用意した1つのマテリアル)をドラッグ&ドロップで設定します。
    ※輪郭線が関係ないとこにも出やすいので、輪郭線のないマテリアル、または基準のマテリアルの輪郭線を消してあげるとうまくいきやすいです。
  • 結果:
    • これで、全身が「たった1個のマテリアル」で描画されるようになり、負荷が最小限になります。

※注意: メガネやFakeShadowなどの「半透明シェーダー」は、マテリアル結合すると塗りつぶされてしまう場合があります。これらは事前にマテリアルを消しておくことをおすすめします。

4. 【もしボーン数が溢れていたら】AAO Merge Boneで物理的に潰す

AAO Trace And Optimize は優秀ですが、ウェイトが乗っているボーンまでは消してくれません。 そのため、PhysBoneを消しても「ボーン数」だけが基準(PC版 Excellentは75本以下)をオーバーしてしまうことがあります。

もしボーン数が溢れてしまっている場合は、AAO Merge Bone を使って強制的に減らしましょう。

  1. ツールの追加: 髪や尻尾など、 手足や頭といった可動部以外 の統合したいボーンのルートに AAO Merge Bone コンポーネントを追加します。
  • 効果: これにより、見た目は変わらないまま、ボーン数カウントだけを激減させることができます。 ※すでに制限内に収まっているなら、この工程はスキップしてもOKです。

5. Android用に変換してアップロード (VRCQuestTools)

最後に、仕上げた軽量ボディをAndroid(Quest)で使えるように変換します。 ここで「VRCQuestTools (VQT)」を使えば、PC用のシェーダー(lilToonなど)を、Android用の軽いシェーダーに自動で置き換えてくれます。

💡 【あわせて読みたい】Quest対応をもっと詳しく!

「そもそもQuest対応って何?」

そんな方向けに、Quest対応(単体)の手順について以下の記事でじっくり解説しています。こちらもぜひチェックしてみてください!

  • 手順:
    1. Unity上部メニューの Tools > VRCQuestTools > Convert Avatar for Android を開きます。ドラッグ&ドロップで、軽量化したアバターを「変換元のアバター」欄に入れます。シェーダー変換の設定:
      • VQTが自動的にマテリアルを解析し、PC用シェーダーを Toon Lit などのAndroid対応シェーダーに置き換える設定を作ってくれます。
      アップロード:
      • VRChat SDKのコントロールパネルを開きます。Build & Publish画面で、「Windows」「Android」「iOS」すべてにチェックを入れる。あとは「Build and Publish」を押すだけ!

仕上げ:アップロードと使い分け

この手順で作った「Plan B」アバターは、以下のランクになります。

  • PC版: Excellent
  • Android版: Poor ※Very Poorではないため、Show Avatar不要で全員に見えます。

💡 小ネタ:手間は2倍、でも仕上がりは最強。「VQT Game Object Remover」の活用術

ここまで紹介した手順は「一つのアバターで両対応する」効率重視の方法でしたが、もっとこだわりたい方には VRCQuestTools (VQT) の Game Object Remover 機能を使ったテクニックがおすすめです。

これは、「PC版では表示するけど、Android変換時だけ自動的に削除するオブジェクト」を指定できる機能です。

  • PC版: アクセサリーでちょっと豪華に、ポリゴン数は32000に設定。
  • Android版: Removerでアクセを全部消して軽量化、ポリゴン数は20000に設定。

このように、PCとAndroidでそれぞれ別々の軽量化をしてあげることで、どちらのプラットフォームでも妥協のない「さらにスマートなアバター」に仕上げることができます。 手間は2倍になりますが、その分クオリティも段違いになりますよ!

まとめ

  • 普段の交流は、Plan A (最適化済み) で、最高画質のまま軽く。
  • 重たい集会やイベントは、Plan B (Excellent/Poor) で、誰よりも快適に。

軽量化して周りも自分も軽くなったアバターで、あなたのアバターライフをより洗練されたものにしていきましょう!

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